角膜は俗に「黒目」と呼ばれており、透明なドーム状の組織で約500μmの厚みがあります。 その角膜に病原性を持った微生物が付着し繁殖(はんしょく)した状態を「角膜感染症」と呼びます。 通常、角膜の表面は簡単には微生物が進入できないように角膜上皮でおおわれています。しかし、何らかの原因で角膜上皮に傷ができてしまうと、微生物が付着して繁殖しやすくなります。 角膜感染症を起こす主な微生物として、細菌・真菌・アカントアメーバ・ヘルペスウイルスなどがあります。症状としては充血や眼痛、眼脂などがあり、起炎菌により症状の程度はさまざまです。 また最近ではコンタクトレンズの普及とともに、コンタクトレンズの正しい取扱いが出来ずに消毒が不十分なコンタクトレンズの装用などが原因で角膜感染症が増加しています。
角膜感染症の各症例
症状としては充血や眼痛、眼脂などがあり、起炎菌により症状の程度はさまざまです。
角膜(黒目の部分)上皮に傷ができてしまうと、様々な微生物が付着して繁殖し、角膜の炎症を起こします。
またコンタクトレンズの正しい使用をしなかったため、角膜炎症が起きることもあります。
標準治療
感染性の角膜炎に対しては、適切な治療を迅速かつ集中的に行う必要があります。治療の原則は原因病原体を同定し、感受性を示す抗菌薬を必要かつ十分に投与します。ただし、病原体の同定や薬剤感受性試験結果が出るまでには一定の日時を要するため、病歴や細隙灯顕微鏡所見などから原因菌を想定して治療を開始する必要があります。通常は点眼薬や眼軟膏による眼局所治療が主体となりますが、病状によっては抗菌薬の結膜下注射や点滴・内服などを併用することもあります。また、原因によって以下の様な治療が必要になります。
ヘルペス角膜炎の治療
抗ヘルペス剤のアシクロビル眼軟膏、抗生物質の点眼を行ないます。角膜の混濁にはステロイド点眼を使用する場合があります。
アカントアメーバ角膜炎の治療
アカントアメーバ角膜炎は非常に治りにくいものです。基本的には角膜真菌症に準じて治療を行います。病巣部をそうはしてアメーバを除去し、抗真菌剤を使用します。点滴の場合、その薬液の一部を点服用に使うこともあります。診断が遅れ、治療が遅れると強い混濁が残ります。
乾性角結膜炎の治療
涙の分泌を確実に増やす薬は今のところなく、治療の主体は人工涙液という、目をうるおすための目薬の点眼になります。重症例には、涙の蒸発を防ぐカバー付きめがねや、涙の排出を防ぐ涙点プラグが使われることもあります。
細菌・ウィルス・カビなどの微生物、紫外線、ほこり・ごみ・摩擦などの物理的刺激、酸・アルカリなどの科学的刺激、花粉などによるアレルギー反応などによって結膜に炎症が起こります。 このうち、短期間に集団的に発生する急性結膜炎が、いわゆる”はやり目”といわれるもので、日常よく見られる代表的な病気です。これは、患者様の目からの分泌物がもとで伝染します。ウイルスによるものが最も多く、伝染性も非常に強いので感染予防がとても大切です。
ウィルス性急性結膜炎が重症化すると、まぶたの裏に炎症反応による膜を認めます。 この膜は、角膜炎や角膜潰瘍(びらん)を引き起こすことがあるので、はがす治療を行います。
ウイルスは、細菌よりも小さい目に見えない微生物で、自分で生きることができません。ヒトや動物の細脳内に侵入して、その細胞を自分の住みやすいよに変えて住み着きます。ウイルスの住み着いた細胞はやがて衰え、 死んでしまい、病気になります。 ところが、ウイルスに対するヒトや動物の抵抗性が強い時は、ウイルスは活動をすることができないので、病気になりません。ウイルスに侵されないためには、強い体を作ることが大切です。
点眼薬での治療が必要になります。症状が重症の場合、眼軟膏も使用します。 また、重症例の場合、まぶたの裏側に偽膜(ぎまく)とよばれる膜状の炎症反応を認める場合があります。 偽膜が生じた場合には偽膜をはがす治療が必要になります。 周りの人にうつしてしまうことも多いので、生活のうえでの注意が必要になります。